「趣味は何ですか」は難問か

私は、「本や音楽やお笑いや映画が好きです」と言うことに少し勇気がいります。

今現在、好きと言えるほどそれらに接しているかどうかというと、
量的にはそうでもないと思うからです。

それぞれハマった時期、というか、
“それにハマる自分になる”ことで助けられた時期というのはあって、
大雑把に言えば、
10代前半は漫画ばかり読み、
10代半ばは音楽をたくさん聴き、
10代後半はお笑いにどっぷり浸かり、
20代の始めは、映画や海外ドラマを観漁り、
その後、本をよく買うようになりました。

振り返ってみると、
どの時期もいわゆる“ミーハー”で、
これしか愛さない、
というこだわりの対象はありませんでした。

例えば音楽でいえば、
私の中学三年生の頃には、周りの男子は皆、
ASIAN KUNG-FU GENERATIONかBUMP OF CHIKENを聴いていました。
間もなくRADWIMPSも流行りましたが、
私は特に、どっち派ということもなく、
全部良いなあと思って聴いていました。


なんだか当時は、
「好きなアーティスト」を選ばなければいけないような気がして、
ミーハーで何でも聴く自分が、
こだわりのない人間に思えて嫌でした。


今でもたまに同じような感覚になるのは、
「趣味は何ですか」という質問を受けたときです。
履歴書などを書くときも困ります。
趣味・・・?と、暫く固まってしまいます。


「休みの日は何をしてますか」という質問も初対面だとよくありますね。
というか私自身もたまにしてしまってるかもしれませんが、意外と困ります。

休日にしたいことは、本当はたくさんあります。
買っておいた本も読みたいし、映画も観たいし、テレビも観たいし...
と考えているうちに、だらだらしただけで終わってしまうことも多々あります。
10代の頃ほど、それにだけ集中してどっぷりハマるということが出来なくなりました。


どうも私には、趣味というと、
時間とエネルギーをそこに費やしていなければそう呼んではいけないような思いこみがあったようです。

そして何となく、
一つのことにこだわって、信念をもって取り組んでいる人に対する憧れや嫉妬みたいなものがずっとありました。

だから、ミーハーなくせに、
とにかく量だけこなせ、という感じで
“それにハマる自分”をどこか演出していたんだと思います。

それって少し格好悪いですが、
ただ、今思うとそれで良かったのではないかと思います。
好きでもないのに無理矢理ハマっていたのではなく、あくまでそのときは好きでハマっていたので、
その過程で結果的に色んな作品に出会うことができたからです。

趣味だとか、休日何をしているか
ということよりも、
今むしろ答えやすいのは、
好きな作品は何ですかという質問です。


最初に、私は「本や音楽やお笑いや映画が好きです」と言うことには勇気がいる、
と書きましたが、

私は好きな本や、好きな曲や、
好きな漫才、好きな映画のシーンなら、
自信を持って語ることが出来ます。

○○が好きです
というのより、
好きな○○がある
という方が、なんだかしっくりきます。

“趣味至上主義”みたいな見えない壁に萎縮して、
何も言えなくなるのは勿体ないくらい、
色んな作品がその時々落ち込んでいる自分を励ましてきてくれました。

このブログでも、
私が影響を与えられたと自覚している作品だけでなく、なんとなく印象に残っている作品についても書いていけたら良いなと思います。
なんとなくを言語化するというのは、私にとって楽しい作業です。



趣味は何ですかという質問を、
難問だと感じている人に、私は共感しますが、
あまり考えすぎる必要はないと思います。
趣味やハマっていることというのは、
変わりゆくものですし、
休日に何をするかだってその日の気分で違います。
ですから、今はね、と答えておくくらいが丁度いいかもしれません。

ちなみに私の趣味は、
ブログを書くことです。今はね。



(映画『ダークナイト ライジング』より)

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