to 'be'

“The Way To Do Is To Be.“

は老子の言葉を英訳したものとされています。

私がこの言葉に出会ったのは、
クライエント中心療法の父である
アメリカの心理学者、
C.R. ロジャーズの全集の表紙裏でした。



深く意味を考えはしませんでしたが、
そのとき直感的に私はこの言葉を気に入り、
以来大切に扱ってきました。


どのように日本語に訳せるのか、
たまに考えます。

中学生レベルの直訳をすれば、
 
「する方法は、いることだ。」
とでも訳せるでしょうか。
しかしこれでは、日本語的には、少し不格好です。

Beというところが、特に訳すのが難しいと感じます。

be動詞には、「いる・ある・なる」と訳すとピッタリ来る場合が数多くあります。
だからと言って、「be動詞には、存在や変化をあらわす使い方がある」と考える必要はありません。
be動詞に意味はない、単なるつなぎ。
それがネイティブの意識です。
(大西泰斗、ポール・マクベイ著『一億人の英文法』より)


beとbecomeは似て非なる動詞です。

becomeほどの強い意味合いはない。

beは単なる文のつなぎであり、
前後をイコールでつなぐもの。

であるとするならば、
the way to do is to be.の
to be とは、
わざわざtoをつけてはいるが、
「~になる」という程の意味合いはなく、

ただ、自然と、そこにあること。

そのような静かな意味合いであるように思われます。

ロジャーズには、
On Becoming a personという著書があります。

ここでBeing a personではなく、
Becomingと言っているのにはまた意味があるのでしょうか。

いつか原著を読んでみたいと思っています。


もっとも好きな言葉であるため、
一度の記事では書き切れませんでした。
というより、まだ自分なりの訳を見つけることができていないのです。
また機会を改めて考察したいと思います。

the way to do is to be.

人は何者かになりたい。
一度の人生で、自分というものをみつけたい。
しかし、
become a person(自分になる)
ということは、
ただ自然と自分でいる(be)ということでもある。


道に迷い、つまずき、
何者かになろうと焦ってしまう時、
ロジャーズの愛したこの言葉が
暖かく落ち着けてくれるのです。

0コメント

  • 1000 / 1000