悩みのない人たち
「悩み」についてこれまで研究してきて、
学術的にだけではなく日常生活の中でも「悩みとは何か」ということについて人に話してみたり、また人の意見を興味深く聴いてみたりするようになっています。
卒業研究をしているときに、
当時、悩みについて扱う尺度を被験者に使うことについて話していた気がするのですが、
ゼミの討論の中であるゼミ仲間に、
「悩みって人間全員にある前提なの?」
ということを純粋に質問されたことがあって、その時返答に困ったことをよく覚えています。
確かに色々なタイプの知り合いの話を聴いていくと、必ずしも誰もが悩みを抱えながら人生を送ってきたわけではないことがよく分かります。
自分と同じように、悩んでばかりだという友人もいますが、
あまり悩まないという人もいれば、
中には悩んだことなど一度もないと断言するヤツまでいます。
私は、「悩み、選び取る」ことによって一人の人間としての主体性が育まれるという考え方を持っているため、
人生に悩みというものは必要であり、
人にはうまく悩む力というものが求められると思っています。
しかし、悩んだことなど一度もないという友人を否定するかといえばそうではなく、
むしろそういう人はとても魅力的で、しかも芯を持って生きている姿であることが多いのです。
私は漫画のワンピースが大好きで、
もう20年近く読んでいることになりますが、
ワンピースの魅力の一つは、キャラクターの性格です。
本当に多種多様で、悩みという観点から見ると、悩みを乗り越えてきたキャラクターも多くいる中で、悩みという描写とは無縁なキャラクターもいるのです。
作者の尾田先生は、
主人公ルフィについて、こう語っています。
みんなを説得するようなセリフを時々言うけれど、あとはずっと子供でいてほしい。僕にとってはミステリアスな部分もあります。また、そうでなきゃ困る。僕が全部理解できたら、読者にも飽きられちゃいますからね。
ルフィは基本的には悩みません。
子供のようにまっすぐで、それでいてなにを考えているか分からない。
大きな夢と、守るべき芯がしっかりしているキャラクターの一人です。
何が言いたいかというと、
人が悩む姿というのは、
親近感が湧くものである一方、
悩まない姿というのも、その強さ、図太さに惹かれるものがあるわけです。
実際にはルフィや、私の友人も、本当は悩みがあるがそれを表に出さないだけかもしれません。
表に出さないというのは、単純に人に見せないということもありますが、
実は自分の無意識から意識に上げないということも関係するのではないでしょうか。
それは彼らの生き方であり、いくら私が悩めなさ論者だからといっても否定するものではないでしょう。
むしろ私は悩みをよく見せる人がいたり全く見せない人がいたり、
いろんなタイプの人間がいた方が、ワンピースの世界のように魅力的になると思っています。
ところで、ルフィが物語の中で一度だけ心の試練を味わうことがありますが、
それは悩まないルフィだからこそその試練が読者には面白く映りました。
どんなに強く、太く、悩みとは無縁の人間にも、人生に一度は試練が訪れるのでしょうか。
ゼミ仲間のあの質問に対して、今ならこう考えます。
すべての人間に悩みがあるとは限らない。
悩みがあったとしても表に出さないものもいる。
悩みの能力や悩みに対する態度、生き方がそれぞれであることが面白い。
余談ですが、最近ワンピースの一番くじなるものがありまして、
コンビニでフィギュアが当たるというもので、フィギュア欲しさに散財してしまいました。
男ってなぜコレクション癖があるのでしょうか。。。
まぁ、気に入っているから良し。
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