お笑いについて
そして、麒麟、千鳥、笑い飯、NON STYLEという漫才師が新世代として現れてきた時期でもあったと思います。
そこにはお笑い論よりも人間臭さのリアリティ、
お笑いという枠を飛び出して、人間としての面白さがあり、
また、お笑いを作っているのはもちろん芸人だけでなく、
演者の影には構成作家・放送作家と呼ばれる人たちがいます。
表舞台には出ずに面白いことを「考える」、0から1を創り出す仕事が視聴者の見えないところにはあります。
元々芸人を目指していたけど作家に転向したというパターンもよくあるようで、
得てして元々はボケ担当・ネタ作り担当であり、内向的な人が多いとどこかで聴いたことがあります。
現在は作家のツチヤタカユキさんは、
NHKの「ケータイ大喜利」という番組でレジェンドまで行った人物です。
“伝説のハガキ職人”でもあり、多くのラジオ番組の大喜利企画で毎日のように彼の投稿が読まれました。
ラジオフリークで彼の名前を知らない人は少ないと思われます。
彼の私小説『笑いのカイブツ』はいろんな意味で衝撃的な一冊です。
私は3年前にこの本を読んだとき、ここまで極端に内向的で、有る意味怖ろしい程の高エネルギーを内面に抱えた人が存在するのかと思いました。
彼は学生時代、1日で大喜利のお題を100個考え、それに対して2000本ボケるという毎日を繰り返していたそうです。
褒め言葉ですが、ちょっとオカシイです。
大喜利界のレジェンドですから、面白いことを考える才能がすごいのは分かりますが、
それ以上に、「1日で2000個の答えを考える」という事自体が何かの大喜利のお題の答えかと思うくらい、既に彼自身が人間としてfunnyでありinterestingだと私には思えてなりませんでした。
いつにも増して熱く語っておりますが、
私はお笑いを愛してきたわけです。
なのでやはり、連日の、吉本興業所属の芸人による反社会的グループからの金銭授受の問題の報道を目にして、
哀しみを感じざるを得ません。
それは、芸人が悪いことをしていたということへの悲しみでなく、
「もうあの芸人テレビで見れないのか....」
という感情に他ならないです。
だってこれまでずっと、笑わせてもらってきたのだから。
正直私は、テレビ業界や吉本興業の中で何が起きているのか分かりませんし、
我々には知る由もないのですが、
問題を起こした芸人に復帰してほしいとか、
芸人だから何しても許されるわけでも、闇営業なるものも看過されるべきでも決してないのも分かるのですが、
ただ個人的な感情としてはこれからも観たいのになぁと。
特に今の小~中~高生の世代ではテレビ離れが進んでいることもあり、
なにか今回のことで、
渦中の芸人の関わる番組だけでなく、
今まで自分の好きだったテレビや芸人文化自体が、
もう何年も前からテレビはオワコンだとか一部では言われていましたが、
本当に崩壊していくような感じを受けてしまいました。
問題となっている芸人による先日の謝罪会見を見て、その芸人たちだけでなく多くの関係者がいま頭を悩ませていたり、言いたいことを言えないジレンマの中にいるんだろうなぁと想像しました。
なんというか、私は人間としての芸人に惹かれてきたと書いた割には、
どこかで芸人にはテレビでは笑顔でいてほしいとも思っているのかもしれません。
誤解を恐れずに言えば壮大なコントであってくれと思ってしまうくらい、芸人が笑いをとってはいけない姿は見るというのはやるせないですね。
謝罪会見の後、ダウンタウン松本人志がTwitterで「松本、動きます」と発言し、
21日の「ワイドナショー」で生放送の形を取って、吉本興行と芸人との間に亀裂が走っていることに危機感や悲しみを募らせていることが松本人志、東野幸治の口から語られる事態にまでなっており、
いち視聴者ながら見ていて一体これは何事かと思いました。
また、コンプライアンスが厳しい世の中で、
それ自体は良い悪いということではないのですが、
ある意味、社会常識の縛りの無い世界で発展してきたのがお笑いの文化であると考えると、
もうこの先のお笑いに“ビートたけし”は生まれてこないのではと思ったりすることもあります。
まぁ、もしお笑いという伝統的な文化が死のうが、
面白い人がこの世からいなくなるわけじゃないけれど。
記事の趣旨からはずれる余談ですが、
なんだか最近、芸能界で大きな動きがあるのもそうですが、社会的にも痛ましい大きな事故や事件が続いています。
ふだんニュースに関心の無い自分でも、ちょっと他人事じゃないというくらい大変な事件の連発で、
こんなこと書くのは不謹慎なんだろうけど、
令和に入って、なにか見えない大きな力が飽和した価値観を破壊しにかかっているかのようです.....。
暗くなるニュースも多いからこそ、
お笑いの力はこれからも必要だと思いますけどね。
ちなみに最近好きな漫才師は、金属バットと昔のチュートリアルです。
0コメント