分人主義的マインドマップ①

考えを整理したいときや心の中を知りたい時、たまにマインドマップを描きます。

マインドマップをどういうきっかけで描くようになったかはもう覚えていないのですが、

4年くらい前に本をたくさん読み漁っていたときに、その中にマインドマップに関するビジネス新書があったかと思います。

私の描き方は、マインドマップとしては至ってオーソドックスな描き方だと思われますが、
まず真ん中に主題を書き、そこから12時の方向に太枝を伸ばします。その太枝に沿うように、主題について最初に思いついたことから自由に書き始めます。
関連して思いついたことはさらに枝を派生させていきます。
有る程度その太枝について書き終えたら、
時計回りに次の太枝(中テーマ)を書いていって、一周するというやり方です。

今日はマインドマップの描き方についての記事ではなくて、
久しぶりに分人主義についてまた書いてみようと思います。


先日、分人主義を知らない知人に、分人主義の考え方を教えるということがありました。

というのも、どうもその知人は最近悩んでいるようで、
何でもかんでも細かく考えすぎる性格に疲れてきたということでした。

私から見てもその人はかなり仕事に細かい人で、それは仕事以外のことでも同じようでした。
仕事熱心で几帳面。そういう性格だからこそ仕事は丁寧で、細かいことによく気づくのが尊敬できる人でもあります。

しかし、本人が言っていましたが、
一歩間違えたらうつになってしまうんじゃないかというくらい考え事ばかりしているということでした。
実は私から見ても、その人の性格はうつ病の病前性格といわれるメランコリー親和型性格に似ていて、確かにと思うこともあります。

私はその人の悩みを聴いていて、
問題は、四六時中仕事のことを考えてそれ以外の余暇の無い生活のあり方にあるのではないかと感じました。

そこで提案したのが分人主義の考え方でした。

個人は分人に分けられるという分人主義の考え方にあてはめるならば、

私にはその知人が仕事モードの分人しか生きていないように思えました。
正確に言えばそれ以外の分人もあるはずですが、それが圧倒的に過多になっていて、バランスが崩れているように感じました。

実は私は、過去に自分の事が大嫌いだと思って落ち込んでいた時期に分人主義に出会い、
その後、とある毎に分人主義の考え方に助けてもらっているのですが、
自分の中に何人の分人がいるのか、マインドマップですべて書き出したことがあります。

少しでも異なると感じる「私」を、環境ごとに書き出していったのです。
例えば、大学にいるときの「私」と家にいるときの「私」。
そこから枝分かれしていき、大学の友人といる時の「私」と、先生と話しているときの「私」。というように。


面白いのは、そのマインドマップ(以下「分人マップ」と呼ぶ)は、
書く時期によって変わるということです。

簡単な例で言えば、
中学生や高校生のときの分人マップは主に学校での人間関係ごとに描くことになると思われますが、

大学へ進学すれば、
サークルにいるときの自分、
バイトをしているときの自分、...
というように環境が増えた分だけ分人が増えますし、
人間関係が広がればその分、増えるでしょう。
逆に高校までの友人と会わなくなると、その分人は生活の中から消えてしまっていることもあります。
したがって中学生の時に描いた分人マップとは全く別のマップが出来上がるはずです。

今のは極端な例ですが、
すでに社会人になっている人であっても、
分人マップは不変なものではなく、常に可変性のあるものだと思います。


書き出した分人たちの総和が「私」であり、
分人たちの比率バランスが「個性」だとひとまずは考えられます。
(平野啓一郎著「私とは何か」にはこのあたりのことがより詳しく書かれています。
ここでの意見はあくまで私の理解です。)


私の場合、
分人マップを何度か時期をずらして描くことによって、
今の生活では大嫌いな自分が多めになっている、とか、
好きな自分が前より増えている、ということに気づくことが出来ました。

大切なのは分人のバランスで、
苦しい、居心地の悪い分人だけを生きてしまうと無理が来ることを知っておくこと、
そして可変性のある分人バランスだからこそたまにメンテナンスすること、だと思うようになりました。

自分の分人バランスについて知ると何が良いかと言うと、
最近、いやな自分ばかり生きているから、
そろそろあの友人に会いに行こう(=あの友人の前でだけ現れる分人に成りに行こう)というような意識的なストレスコーピングが出来るということです。


このような話を知人にした後、結局は
・趣味を持ったり環境を変えることによって、新しい分人を増やすこと
・今の生活の中にもある楽な分人に気づいて、その足場を増やすこと
が解決になるのではないかとお話ししました。

このとき大切だと思ったのは、その知人は、今の生活がどこか苦しいと思っているだけで、
仕事をしている自分自体は大好きだということです。

好きな分人を減らしたり消したりしてしまう必要はないと思います。
ただ、好き嫌い以外にも重視してあげるべき指標はあって、
居心地が良いか悪いか、楽か苦しいか、というところも見て調整しないとつぶれてしまうと思うのです。

最終的にその知人は、お子さんといるときの分人が、一番何も考えずに無邪気に過ごせるということに気づかれました。

気づいて、その後どうなるかは分かりませんし、
この分人マップでバランスをメンテナンスするという一種の技が、誰にでも役に立つものかは分かりませんが、

その知人が分人主義について面白がって聴いてくれたのが、私はとても嬉しかったです。


最後に、分人マップの一例を描いて、写真を載せておきます。いまの自分のことを書くと個人情報になりそうなので、大学生のときを参考にして描きました。

ただ、本当はもっともっと細かく枝分かれさせることができます。
枝分かれ不可能なところまでやったら、
今の生活の中に何人の分人がいるかが分かります。
そして、どの分人が時間的に一番多く生きられているか、その分人を生きているときの感情や体感はどうか、ということを見ていくのです。



余談ですが、マインドマップというと色鮮やかに描いたり絵やデザインにこだわって描いている人もたくさんいますが、
個人的には、汚くてもいいから描きやすいペンでどんどん描く、というのが好きです。
好きというか、集中力が高まってくると、どんどんアイデアが浮かんでくるため、ペンが頭に追いつかないときがあるのです。
そういう私みたいなタイプの人は、絵やデザインなどにこだわるよりも、とにかく書き出すということを優先した方が、有用なマップが出来上がると思います。





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