続けられないことへのコンプレックス

私は6年ほど前までは、学術的な文章以外も含め、

「書く」ということを得意としてきたし、書けるときは自然と言葉が出てきていました。

それがここ数年、長い文章を書けなくなってしまっていました。

日々の仕事で疲れていたから?

それとも、「悩まない」「あきらめる」ことを身につけたから、

内省する機会も減り、新たな気づきを求めていなかったのかもしれません。

あるいは、昔に関心を持っていた「悩めなさ」という状態がここ数年慢性的に持続していたのかもしれません。


書くことの意義だとか効用について理解していたつもりでした。

それを見てくれている人もいることも知っていました。 

しかしどうしても何か書くという発想に至らず、

忙しく(時間はありましたが、頭が別のことで一杯になっており)、

ずっと避けていました。


最近の私はというと、久しぶりに書かされています。

1人で書いているだけですが、

「書く」よりも「書かされる」という表現の方がしっくりくるのです。

今も何か内面からくるものに動かされ、書いています。


ただブログを書くだけならば、のんびりやっていればいいのかもしれません。

そして書かないことによってなんら後ろめたさも感じることもないと思います。

でも心理士である私にとって書く(とりわけ内省しながらの表現)ということは、

研究をする、そしていずれ形にするということと繋がっているものだという認識がありました。


修論についてはそれなりのものが書けた。

しかし現場に出てからというものは、修論のように締め切りもなければ

そもそも義務もない。他の人達はなにをモチベーションに書いてるのか分からなかった。

でもずっと臨床と研究どちらもやりなさいと心の声が言っていた。

耳をふさぎたくなる。

学会誌の表紙に知っている人の名前が載っているのを見ると、不思議と辛くなりました。

私は何においても、続けることができない人間。そう思ってしまっています。

刹那的に生きている感じがするし、飽き性だから仕事も長続きしない。

それが自分らしさと思っている節もあるんだけど、

やっぱりその続けられなさが悔しくて、情けなくて、普段は意識せずに生活しているけど無意識では劣等コンプレックスとしてあったんですね。


なんで今書こうかなという気になったかと言うと、

「悩める」サイクルが久しぶりに始まったからだと思います。

なにか準備性みたいなものがあるのでしょうか。

大学というアカデミックな場所に戻ってきて、

周りの環境から刺激を受けたというもトリガーだったかもしれません。

前のようにもがき苦しむといったような悩みではなくて、 

ある程度向き合うべき課題が整理された上での葛藤があります。


要はそれが、このまま漫然と臨床だけ続けていていいのかという悩み。

大学で助手として働いているといっても、精神科での臨床は辞めていないし、

臨床だけは離れず続けているからと心理士アイデンティティは保てているのです。

だけど、やっぱり研究すべきなんじゃないかと最近思えてきました。

もう学生ではないから学位論文も書く必要はない、義務もない。

誰に怒られるわけでもない。書いても給料が上がるわけでもない。

でも、何か書く(創造する?)べきではないのかという問いが内からこみあげてくるのです。


何を書くか。そもそも書き方の作法も忘れてしまいました。

それに、研究手法もあまり詳しく知っているわけではない。

そんな状態でも一歩前に進むために今できることはなんだろうか。

本当は研究業績が欲しいのだと思う。

でもそれ以上に、せっかく問いが目の前にあるのに、

形にしないまま時間だけ過ぎていっていいのかという違和感がある。

打算的に言えば研究業績があれば次のキャリアに繋がるかもしれないという考えも片隅にある。

しかし、そんなことよりなにより、

書きたくないものを書いたって仕方ないじゃないか、

いま考えたくない時期なんだから逃げたっていいじゃないか、

そういう態度でいました。


いま、決して余裕があるような生活ではないのですが、

それでも毎日少しずつでもいいから研究(つまりは問いを立て、考える、次につなげる)

について考える時間を作ってみてもいいのかなと思っています。


アイデアを出すのだけは得意なのですが、

それを研究デザインに落とし込むことにハードルを感じたり、

事例研究にも関心はあるけどなにぶんやったことがないので尻込みしています。

でもとにかく動いてみる。動かなければ始まらない。

始まれば、結果はどうあれ何か気づきがある。


チャレンジはすること。

今年度の目標にしたいと思います。

迷惑かけない範囲でね。


さて。なにがあるかな。


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